MARY LUCIER
メアリー・ルシエ/1991年制作「時間を空間に変えるビデオ・インスタレーション。
<束の間>を定着し、それが繰り返されて円弧をつくる。」
1973年ごろから、もっぱらビデオ・インスタレーションを手がけてきた。ナム・ジュン・パイクらとならび、この分野の先駆的なひとりとされている。
高い評価を得た『荒れ野』(1988)を例にとり、多視点的なパースペクティヴをあたえつつ時空を往還するそのコンセプトと実際を、アーティスト自らがつぶさに語る。さらに、画家モネへの心象の旅をつづった前作『オハイオからジヴェルニーへ』(1983)からの抜粋。そして『ニューヨーク・タイムズ』の批評家アンディ・ゴールドバーグが彼女の作品についてコメントする。
ELIZABETH MURRAY
エリザベス・マーレイ/1989年制作「私の作品には、
私自身の生活のすべてがふくまれている。」
机や椅子など、主に身の回りのオブジェをモチーフにとりあげ、単純化したそれらのかたちを組み合わせたりして、壁から飛び出すような、絵画とも彫刻とも、具象とも抽象ともつかぬ、それでいてきわめて情感的な作品に仕立て上げる。
1987年のポーラ・クーパー・ギャラリーでの個展を取材したこのテープでは、アーティスト自身が自らの制作プロセスについて詳しく語っている。ほかに彼女のディラー、ポーラ・クーパーと『ニューヨーク・タイムズ』の批評家、ロバータ・スミスのコメントを含む。
ALICE NEEL
アリス・ニール/1990年制作「私が描きたいのは、このニューヨークで
死にもの狂いで生きている人たち。」
ニールが好んで描いたのは、精神を病んでいたり妊婦だったり、特異な状態にある無名の人びとが多かった。肖像を描きながら、対象を称揚するというよりその本質を直裁にえぐりだして画面にぶつけるような、一種の心理分析的ともいうべき描法は、具象絵画のなかでも特異な位置を占めている。
このテープでは、アーティスト自身に加えて(このテープのインタヴュー収録後、ほどなくして死去した)、彼女のモデルになった経験を持つ美術史家リンダ・ノックリンと美術批評家ジョン・ベロルトが彼女の作品について語る。